優しい景色の中に君がいなくて絶望感を感じる
本を一冊書きたい
一人称の
それはそれは女々しい男の話
未来は薄暗くて
幸せだった過去の出来事ばかりを思い出している
これからどうすべきかなんて考えに
発展することもなく
彼は君のことばかり
想い焦がれては
幸せな憂鬱を噛み締めてる
そんな憂げな表情が
母性本能をくすぐるのか
彼に好意を持ってくれる女性も現れる
しかし彼は
この世界にもう君以上の存在はいないのだと
新しい恋を受け入れることができない
最後に彼は自らの命を断とうとする
誰も知らない土地で
最後の晩餐だと
何気なく入った店に
運命の人が待っていた
そうしてこの本は
彼のその後を追うことなく
あっさりと幕を閉じるのだ