ケーキ

自分のためにケーキを買った


保冷剤も入れてもらったけど


その場で食べる


なんだかご飯より


嗜好品にお金をかけすぎてる気がする


ケーキを買ったのは


ちょいと訳があってのことなのだ


食生活にはバランスが必要だけど


職人となると


その道を極める訳だから


と意気込んで食べたのだけど


やっぱりいっぱい食べるのはご飯が良いなと思い直す





共同生活

共同生活において


自分のズボラな性格が明るげになる


一緒に関わる時間がないから


これくらいならと机に置いてた私物も


毎度見てたら嫌だったんだろうな


気を使うのは生活に負荷をかけるかもしれない


だけどいろんなとこに気を配れることは


一つ大人になったってことだ


嫌な気持ちにさせてごめんよ



優しい景色の中に君がいなくて絶望感を感じる

本を一冊書きたい


一人称の


それはそれは女々しい男の話


未来は薄暗くて


幸せだった過去の出来事ばかりを思い出している


これからどうすべきかなんて考えに


発展することもなく


彼は君のことばかり


想い焦がれては


幸せな憂鬱を噛み締めてる


そんな憂げな表情が


母性本能をくすぐるのか


彼に好意を持ってくれる女性も現れる


しかし彼は


この世界にもう君以上の存在はいないのだと


新しい恋を受け入れることができない


最後に彼は自らの命を断とうとする


誰も知らない土地で


最後の晩餐だと


何気なく入った店に


運命の人が待っていた


そうしてこの本は


彼のその後を追うことなく


あっさりと幕を閉じるのだ



気がつけば

気がつけば雨が降っていた


傘は車の中に置きっぱなしで


せっかく温泉に入ったのに


ちょっぴり濡れそうだから


まだ建物の中に残ってる


なんだか誰かの忘れ物みたい


いつまでそこに居続けても


誰も関心を持たない忘れ物


私はもっと存在意義が欲しかったんだ


褒められて認められたかったんだ


唯一無二の人間として


仲間に入れて欲しかったんだ


雨は止みそうにないけど


それはそれで良い


忘れ物は


そこで少し泣いた


眠たい運転

眠たい


眠たい


そんな時の運転は危険


頭の中の空想が


手に握っているマシーンの恐ろしさに


気づかなくさせる


でも無事に到着した


車はないと不便だ


だけどなくても充実した生活を送れると思う


だからいつかすべての機械から離れたい


そしたらもっと自由に生きられるだろう

帰りたいなら帰れば良いじゃない

短気で文句ばかりのジジイ


同じ場にいたくない


こっちの方がイライラしてくる


そんな世界をオサラバして


私は元のお家に帰ります


さようなら


終わったら一瞬も思い出さないでしょう


私が嫌いだったものたち


さようなら

大学生のやる気のない講義みたいに

大学生のやる気のない講義みたいに


余白スペースに落書きして


ちょっと自由のきく大人になったからって


粋がってる


だけど数年して卒業して


真っ黒なスーツに染み込むような


真っ暗闇に落とされて


右も左もわからなくなるのさ


あのプリントの落書きは講義が終わってから


どこかのゴミ箱に捨てたんだ


大人になりたくないと


自分の中の小さな子どもが叫ぶ


もっと自由になりたかった


気休めの数年間じゃなくて


生きてる間ずっと自由を感じたかった


そうしてネクタイを外し


大人から少年へ戻ることにした