自堕落

お酒もタバコも飲まない


だけど俺は自堕落なのさ


会社へと車を走らせる


志望動機なんてへったくれもない


ただ家族と生活を守るため


俺は自堕落なのさ


この世に生まれて生きてきて


俺は日常というものに飽き飽きしていた


自慢げに生活を大っぴらげに話して


周りが手を叩いて喜んでいると思ってる奴はアホだ


お前はただバカにされているだけだ


大して好きでもない人と結婚して


子どもが産まれても俺は自堕落だった


ニュースに出てくるきちがいな親にはならないけど


俺は産まれてから満足なんてしてない


生涯孤独でも


道を踏み外して薬漬けになることもない


だけど満足できないのは


俺が自堕落だからだ


ラジオから流れる音楽


10代と思しき甲高い声のボーカルが


社会も何もかも死ねと騒ぎ出す


その溢れるばかりの反抗心に


嫌気がさすとともに少し羨ましい


自堕落がなんだ


お前が生きてくれるだけで幸せな人もいる


そう言って親父は死んだ


なんだか名前も知らない涙が溢れてきた


初めて感情を持った猿みたいだった