ザラザラとした口の中で

ザラザラとした口の中


イメージは砂漠のど真ん中


水はもうなくなった


こんなに乾ききっているのは人生で初めてだ


そんな初めてなんて経験したくなかったのに


今は雨乞いをする体力も残っていない 


灼熱の太陽を浴び


サウナのような砂地をベットに


俺はやがて枯れていくのだろう


それは人にとって死を意味するのだろう


本当に死ぬ前は走馬灯が見えるんだな


こんな俺を育ててくれた母さん


何も親孝行できずに最後まで迷惑かけてごめんと


ひとしずく涙がこぼれた


そして永い眠りについたと思ったとき


空も泣いたのだ


枯れていく青年を見て見かねたのか


俺は頰に当たって来たその涙を受け止めた


そして涙は止まずに


俺はこのスコールの中一緒に泣いた


人生をもう一度やり直せるならと


考えていたところだった