もしも目の前に釣り糸が
もしも目の前に釣り糸が垂れてきて
そこに自分が心の底から欲しかったものがぶら下がっていたら?
もし私が思いのままにそれを掴むと
案の定
針が手に食い込んで抜けなくなって
そのまま釣り糸を垂らしていた主人の獲物になる
要は自分で覚悟して得るしか道はないのかと思った次第である
針金は刺さったら痛いし
でも餌は欲しいからと口を開いて
そのあとどうすることもできずに吊り上げられる瞬間
魚は絶望の淵にいるのだろうか
冷たいナイフが体に入れられた時に
真っ暗な暗闇に包まれて
今までの人生に涙するのだろうか
と言いながら
焼き魚にありつく