出会いと別れ

3月のまだ寒さの残る日


卒業式が終わったら私たちバラバラになることも


全然実感が湧かないまま


先立つ不安と


未来への希望で


心が泡立つ中


やっと始まりの4月を迎える


街には真新しい制服に身を包んだ学生や


まだスーツ姿がぎこちない若者が


少し緊張気味に歩道を歩いている


私はこの街に残った


取りたての免許で


就職祝いに買ってもらった 


クリーム色の軽自動車を運転する


多分今のお店で何年か働いた後


私はごくごく普通に結婚して


家庭を持つのだろう


それを人は幸せと呼ぶのだろう


私は方向指示器を右に出しながら


私が選んだ道が


世間から見て正しいか正しくないかよりも


自分で納得して選んだんだから良いんだと思った


暖かくなったら同級生達と再会した


キラキラした大学生活を送る


彼女達から元気をもらおう


そうして私はまだ握りなれていない


ドアノブを引いた