無題
無題の中に
無益な言葉
多分
無題という本が出たら
そのセンスのなさに絶句するだろう
浅ましさと健気さと
毒の中の甘さ
甘さの中の毒
どちらが先でも毒は回る
新しい響きの中には
古さがあって
やがて錆びついて
ギトギトになって
両膝から崩れ落ちるみたいに
人類は滅びていくのだろう
ああ海は今日も輝いて
空はそれを黙って見つめている
平和が恒久に続くように
我々には願うことしかできない
映画鑑賞
ただただ時間を潰しただけの
つまらない映画
何が言いたかったのか
面白さが全然分からない
脚本には何も書いてなくて
監督からは何も指示がない
演者はプライドだけ持て余して
カメラマンはそれを映し続ける
幕が上がる時
私たちは元の家に帰る
人様の家に上がっていた
そんな気持ちになる
時代を経ても残る映画は
甘ったるい恋愛ドラマでも
笑い声が足されているコメディーでも
宇宙人が敵として描かれるSFでもなく
ただ残酷に
私たちの生活を映した
ドキュメンタリーなのかもしれない
世の中みんな仮装大会
SNSで仮装して
ブランド物身につけて仮装して
恋愛遍歴をひけらかして仮装して
自分の定位置から離れないように仮装して
顔のマスクが離れなくなった
昔あったなそんな映画
世の中みんな仮装大会
優勝者はほくそ笑んで泣いている
これは本当の自分じゃないんだと
心が裂けて死んでしまいそうになっている
廊下に響く怒号
校長先生が
マシンガンを撃ち続けて暴れてる
屋上から生徒が飛び出しては
見えないパラシュートに乗って空を飛ぶ
裏切られたと打ちひしがれて
路地裏でくたびれた猫よりも
沈んでいた彼女に
地雷が爆発する音が聞こえた
世界はやはり繋がっていたんだ
仮装とか仮面とかもうやめて
自分らしく生きようよ
子どもとか大人とか
男とか女とか
健常者とか障害者とか
そんな誰かが作った境界線を
トビウオのように飛び越えた生徒たちが
虹を作って街へと消えた
感 謝 感 動
好きとか嫌いとかで人を判断しないで
優しいとか楽しいとかで日常を彩って
苦しい辛いとのたうち回っては
結局いつものところに帰るの
ありったけの幸せは
手からこぼれ落ちちゃうから
人におすそ分けしたら良い
今日の夕日はとても綺麗だと
感じているのは
あなたの心がとても綺麗だから
さよなら
君からの返事は来なかった
なかなか冷たい人だ
僕だったら返事はちゃんと返す
物の良し悪しじゃなく
わざわざ持ってきてくれたことが嬉しいから
君の誕生日まであと少し
それ以降は僕だって
無視するんだ
そうしてお互いに忘れていって
僕より先に君が思い出して
泣けば良いんだ
君の存在を超えることなんて簡単だ
無難な職についてたって
運命に生きる僕は
君の大切にしてる常識とか
いとも簡単にぶち壊して先に進むから
さよなら
さよなら
さよなら